1. 歯科衛生士ミッキーの離乳食研究とは
こんにちは!歯科衛生士のミッキーです。 私は10年以上にわたって、赤ちゃんの「噛む力」を育むための離乳食研究を行っています。
このブログでは、ミッキーの離乳食研究として、「一般的な離乳食」と「手づかみ離乳食」の違いについて、管理栄養士と共に研究を進めたときのお話をしています。
本日の研究テーマは「初めての手づかみ食べから1ヶ月後の様子」です。一般的な指導では、1品手づかみ食べの食材を入れた献立での手づかみ食べがスタートしました。
それから1ヶ月後の赤ちゃんの様子を観察しました。
食育実践予防歯科®メソッドでは手づかみ食べが慣れてきたら、手づかみ食べ2回食で(この頃すすり飲みができる体ができているので)味噌汁のすすり飲みにチャレンジします。
今回の研究ではモニターAちゃんに味噌汁のすすり飲みチャレンジしてもらいました。
2. 一般的な離乳食と手づかみ離乳食のすすり飲みの考え方の違い
1)一般的な離乳食時のはじめてのすすり飲み
まずは、大人用の大きなスプーンを横向きにしてお子さんの口に持っていき、唇でスプーンを軽く挟みながら、液体を飲むことから始めます。
次に汁椀で飲む練習を行い、それができたらコップ飲みへと進みます。こぼすのが心配な場合はおちょこを使うという指導が多いようです。
2)食育実践予防歯科®メソッド手づかみ離乳食の初めてのすすり飲み
食育実践予防歯科®メソッドでは大きなスプーンを使ってのすすり飲みの練習はしません。
なぜなら大人が大きなスプーンで介助する場合、介助方法によっては流し飲みになってしまうため、高度な介助が必要になると考えるからです。
すすり飲みでは下の顎の安定が大事になります。
手づかみ食べができるようになったら、赤ちゃん自身で口唇を閉じ、口唇で食べ物を取り込むということを経験し、学習していくので、自ら食べる経験から下の顎が安定し食べるということも、一般的な離乳食のスプーンよりも早くに獲得するのだと思われます。
このすすり飲みのチャレンジ条件として、両方の手のひらで物を支えることができる体であるということも重要な要素です。
初めてすすり飲みにチャレンジするには、味噌汁が適しています。
理由は出汁の味が美味しいので、赤ちゃんの「すすり飲み」をもっとやりたいという欲求を引き出してくれるからです。
3. 本日の離乳食研究:初めての手づかみ食べから1ヶ月後の様子
初めての手づかみ食べから1ヶ月後のAちゃんの実食の様子を解説していきます。
Aちゃんは生後11ヶ月になりました。まずは味噌汁のすすり飲みにチャレンジしました。
はじめは汁椀に何が入っているかわからなかったようで、汁椀の汁を保護者が口唇にちょんちょんとつけるとAちゃんは「おいしい!」という表情をしました。
保護者が汁椀を持ち、傾けるとAちゃんは汁椀の縁を口唇ではさみ味噌汁をゴクンと飲みました。はじめてのすすり飲みです!
Aちゃんは汁椀に手を入れ、手についた味噌汁をペロっとしました。味噌汁の出汁の味が気に入ったようでした。

大根・にんじんは半月状に切り、1ヶ月前に提供したものより硬めに煮ています。
Aちゃんは大根を右手、人参は左手で持ち前歯でハックとしましたが、べーっと出しました。Aちゃんの歯は下の前歯2本です。
Aちゃんの舌の動きの機能では、まだ処理ができない硬さだったようです。
この吐き出すという行為は誤嚥を防ぐために大切なことなので経験としては大事ですが、口の中で処理ができない硬さの食べ物を日常から食べていると、力で飲み込むことが癖となり、成長すると噛まないで飲み込むことが普通になってしまうので、その子の舌の動きの機能に合った食材の軟らかさがとても大切です。
サイコロ状の木綿豆腐も親指と人差し指でつかみ食べていました。
飲み込めないものはべっーと出していました。おかゆは手づかみでなく保護者がスプーン介助で与えているのですが、手づかみを始めてからは保護者のスプーン介助を嫌がるようになったとのことでした。
一般的な離乳食ではおかゆは手づかみするという指導はしないようで、おかゆはそのままスプーン介助で続けてもらいました。
はじめての汁椀でのすすり飲みは最後には連続飲みもできるようになりました。
Aちゃん自身が汁椀に手を添えることはしなかったので、保護者に後ろに回ってもらい、Aちゃんが汁椀に手を添えるどうか様子みていましたが、手を添えることはしなかったです。
4. まとめ
一般的な離乳食では月齢で進めていく傾向があるため、あまり赤ちゃん自身の舌の動きを考慮しての食材の軟らかにはしていません。
研究の実食の様子でもわかるように、赤ちゃんが口の中で処理できない硬さの場合、吐き出せる赤ちゃんはベーっと吐き出しますが、出せない赤ちゃんはただ泣くだけになってしまうかもしれません。
そんな様子を見ている保護者は「嫌いなんだね」と思うのが一般的なようです。
嫌いではなく、口の機能の状態に合っていないという目線も保護者には必要です。
汁椀のすすり飲みでもわかるように、初めてのすすり飲みでも、すすり飲みができる体と口を閉じて口唇で取り込む経験ができていれば、初めてのすすり飲みでも最後には連続のみができてしまうという、赤ちゃんの能力の高さに驚かされます。
