新生児はずっと寝ていると思っていたのになぜ寝ないの?
寝かしつけようとして部屋をウロウロ歩いて1時間、寝たとおもったら数分で起きてしまったり。赤ちゃんが寝ない、あるいは夜泣きでずっとグズグズしている、そんな日が続けばママもイライラしてしまうことでしょう。赤ちゃんが寝ない夜がくるのが恐ろしく感じるママもいます。産後で心身共に疲労しているママにとって「赤ちゃんが寝ない」ことは大きな悩みであると言えます。
睡眠は生活に影響する要因として大きく、「食べる」ことにも影響します。
今回は専門家に教えていただいた事をまとめました。
①赤ちゃんが寝ない原因
赤ちゃんが寝ない原因はなんでしょうか。月齢別に解説していきます。
出産直後~1か月
生まれて間もない赤ちゃんは、昼夜の区別がなく寝たり起きたりを繰り返します。寝る時間が安定していないことも寝ない原因のひとつです。赤ちゃんの最初の感情は「快」と「不快」のみです。なにか不快なことがあると寝ないことがあります。赤ちゃんにとって不快に感じるものがあれば取り除いてみましょう。
2ヵ月~3ヵ月の赤ちゃん
昼寝の時間が長いことはありませんか?長く昼寝をした日は、夜眠れなくなってしまうこともあるでしょう。生後2ヶ月くらいになると、徐々にお昼寝の時間が減っていく時期です。昼寝が長すぎないように調整するとよいでしょう。
また、2ヶ月~3ヶ月の赤ちゃんが寝ない原因として、日中に受けた刺激が強く、興奮状態が続いていることも考えられます。この頃になると目もよく見えるようになってくるため、脳への刺激が強くなってきます。赤ちゃんがリラックスできるよう工夫してみるとよいかもしれません。
4ヵ月~5ヶ月の赤ちゃん
4~5ヶ月はまだ睡眠が浅い頃です。そのため、物音や光などのちょっとした刺激で目が覚めてしまい、そのときに不安を感じるため、寝ないということもあります。
また、生後4ヶ月くらいの赤ちゃんには「強制注視」という傾向があります。これは、一旦注視したものから目が離せなくなる現象です。たとえば天井の明かりを見つめてしまい、なかなか寝ないということもありえます。一点を見つめすぎているのに気づいたら、赤ちゃんの意識を逸らすようにするとよいでしょう。
6ヶ月~7ヶ月の赤ちゃん
6ヶ月頃になると、赤ちゃんは6~8時間ほどまとまって寝るようになり、昼夜の区別がつくようになってきます。昼寝の長さとタイミングが悪いため、夜に眠れなくなっている可能性があります。
8ヵ月~9ヶ月の赤ちゃん
生後8ヶ月くらいになると、ずりばいやハイハイをしたり、お座りしたりと体を活発に動かすことができるようになってきます。喃語が出てきたり、記憶力の発達も見られる時期でもあります。そのため、夜になっても体や脳のはたらきが活発になりすぎて、寝ないということが考えられます。
また、夕寝がなくなり、ねんねの回数も減っていくこの時期は、睡眠リズムが崩れてしまうこともあります。そのため、夜に寝ないということもあるのです。
1歳からの赤ちゃん
新生児の頃と同じで、身体面での欲求が満たされていないことが寝ない原因となることに変わりありません。赤ちゃんのおなかと心を満たすこと、赤ちゃんがリラックスできる環境を整えることを意識していきましょう。
体力がついてくる1歳児。昼間はママが驚くほど走りまわって遊ぶことも多くなりますね。日中にしっかり遊ぶことでよく寝ることもありますが、寝る前にも日中の興奮が残っていると寝ないということがあります。
また、赤ちゃんが興奮する理由のひとつとしてあげられるのが、パパの帰宅です。 赤ちゃんが寝る頃にパパが帰ってくるという家庭もあるでしょう。赤ちゃんの睡眠リズムはできるだけ変化させたくないので、寝る時間と帰宅時刻が重なる場合には、パパによく理解してもらって、家族で静かに過ごせるように心がけましょう。
②赤ちゃんが寝ない時の対処法
赤ちゃんが寝てくれない状況が続くのは心身ともに辛くなってしまいますよね。
どうすれば赤ちゃんが寝てくれるようになるのでしょう。
赤ちゃんの不快を取り除く
赤ちゃんは快・不快に正直です。大人でも不快な状態が続くとなかなか寝られないように、赤ちゃんも不快なことがあると寝てはくれません。赤ちゃんが不快に感じることを1つずつ確認して、不快感を取り除いてあげましょう。
- おむつが濡れていないか
- おなかがすいていないか
- げっぷや便でお腹が張っていないか
- 温度、湿度が適切か
- 寝る部屋が明るすぎたり、音がうるさかったりしないか
- 服や布団の質感がチクチクしていないか
- 体調が悪そうにしていないか
- 抱っこ姿勢が不安定だったり苦しそうだったりしていないか
赤ちゃんに安心感を与える
赤ちゃんは十月十日ママのお腹の中にいたので、その頃と似たような状況をつくってあげると安心します。「まぁるい抱っこ®」で赤ちゃんを包んであげたり、ママ・パパの心臓の音を聞かせてあげたりするのもよいでしょう。赤ちゃんが落ち着いて寝てくれることもありますよ。
生活リズムを整える
赤ちゃんの生活リズムを整えることで、寝る時間が安定しやすくなります。授乳やお風呂、遊び時間、起床・就寝時間を、毎日同じ時間に決め、生活リズムを整えるようにしてみましょう。
起床時間が遅いと、どんどん生活リズムが崩れ、それが寝ない原因となってしまいます。遅くでも朝7時までには起きるように心がけましょう。
また、朝に日光を浴びると、「メラトニン」という睡眠ホルモンが夜に分泌されるので、寝付きがよくなるといわれています。
日中はよく遊ぶ
体力が有り余っていると、なかなか寝ないということがあります。体力発散のためには外遊びがおススメです。天気の良い日には、積極的に外へ出て、公園などで体を動かしましょう。歩けるようになった子は、お家の周りを歩いてお散歩するだけでも良い刺激になりますし、足腰も鍛えられます。
まだ歩けない子も、外出するだけでも脳に刺激がありますし、太陽の光を浴びると自然と体内時計が整います。砂場ならお座りの姿勢でも遊べますし、木の実や花を集めるのも良いでしょう。パワーを十分に発散させてあげると、夜は疲れてすとんと寝てくれることも多くなりますよ。
寝る前のルーティンを作る
「これをしたらねんねの時間」というような入眠儀式を決め、ルーティン化しましょう。「寝る時間だよ」と声をかけてから部屋を暗くする、胎内音の音楽を流して、赤ちゃんの体をとんとん叩いたり、マッサージしたりするなどを入眠儀式にして繰り返すと、自然と寝てくれるようになります。
赤ちゃんのおなかを満たす
生まれたばかりの赤ちゃんは、泣いて寝ない場合はお腹がすいている可能性がります。ミルクが足りているかどうかは、 赤ちゃんの体重の増加と便、尿の回数で判断します。
尿は1日6回以上オムツがしっかり濡れているかが目安です。便は最低1日1回以上出るのが目安ですが、排便回数は個人差があるので便秘がちであってもミルクの量は足りている子もいます。
赤ちゃんの母乳やミルクの量に関して不安な場合は、1ヶ月健診での体重測定の際に医師や助産師さんに相談しましょう。1ヶ月健診が終わってからも、相談できる場所はありますので、一人で悩みを抱え過ぎないようにしましょう。
抱っこ姿勢を見直す
抱っこ姿勢が安定しないことで寝ない赤ちゃんがたくさんいます。抱っこ姿勢は、口腔育成のために非常に大きな影響を及ぼすため、わたしたちは辻直美先生の「まぁるい抱っこ®」を推奨しています。書籍「どんなに泣いている子でも3秒で泣き止み3分で寝るまぁるい抱っこ」をはじめとし、オンライン講座や動画教材もありますのでぜひ検索して試してみてください。
抱っこ姿勢が安定することで安心し、眠ってくれる赤ちゃんは多いです。
ママ・パパの気持ちを落ち着ける
赤ちゃんの心が不安定な場合、ママ・パパの気持ちが焦っていたり、不安だったりすることがあります。
ママ・パパの安心=赤ちゃんの安心です。
上記で紹介した対処法を試しても寝てくれないときは、赤ちゃんからほんの少しだけ離れてみるのも必要かもしれません。そうすることで、なかなか寝てくれず疲弊し、イライラしたママ・パパの気持ちを落ち着けることができるでしょう。
気持ちが落ち着けば、赤ちゃんにもそれが伝わり、リラックスして寝てくれることもあります。初めての育児で不安や大変なこともたくさんあると思いますが、無理して張り過ぎないことも大切なことです。
一度試しただけですぐに「これはダメ」と決めてしまうのではなく、3度はやって欲しいところです。赤ちゃんにとって、実は心地よいことだとしても、初めてのことは戸惑うこともあります。
ひとつずつ試しながら、赤ちゃんが安心して寝られるものを見つけていきたいですね。
③寝ない赤ちゃんへの注意点
赤ちゃんを放置する
「寝ない、泣かない赤ちゃんは放置すると寝るようになる」といわれることもありますが、放置することはやめましょう。目を離している時に、赤ちゃんがうつ伏せ寝になったり、ビニール袋が顔に乗ってしまい呼吸ができなくなったり、ベッドから落ちたりといった赤ちゃんの事故が起きないとも限りません。
泣き続けて寝ない赤ちゃんを長時間あやすのはなかなかつらいときもありますが、赤ちゃんはママ・パパがそばにいるだけでも安心します。
放置せずにそばにいて、見守り、スキンシップをとったりするよう心がけましょう。
添い乳したまま一緒に寝てしまう
添い乳をすると赤ちゃんがいつの間にか寝てくれるので、ママも横になりながらできる寝かしつけの便利な方法と言われていますが、赤ちゃんのむし歯のリスクが高まってしまいます。また、添い乳しながらママが寝落ちしてしまうのは要注意です。ママが眠ってしまうと、赤ちゃんの鼻と口を圧迫してしまい、呼吸ができなくなるという事故も起こりえます。新生児は自分の力で頭や手足を動かせないので、特に注意しましょう。
胃に物が入ると脳が覚醒するので、寝る時の授乳の習慣は逆に赤ちゃんの睡眠を妨げます。
赤ちゃんに刺激を与える
夜中に授乳やおむつ替えをするときに気をつけなければならないのは、赤ちゃんに刺激を与えることです。例えば部屋の明かりをつけたり、物音を立てたりすると、赤ちゃんが覚醒してしまい、寝なくなってしまうことがあります。
夜中の授乳の時にも、明るすぎないように薄暗くし、おやすみライトなどのほどよい明かりにするのがよいでしょう。また、テレビやスマートフォンの音は消しておくようにしましょう。
④赤ちゃんが寝なくてもイライラしないために
寝ないのもひとつの個性
赤ちゃんの眠りにも個人差があります。もともとよく寝る子もいるのですが、生まれつきショートスリーパーの赤ちゃんもいます。
大きめに産まれた赤ちゃんや男の子は、体力があってなかなか寝ない傾向があります。外の世界に出てきたことになかなか順応できない繊細な赤ちゃんもよく泣いて寝てくれない場合があります。
体が小さい、かぜをひきやすい、お腹がゆるい、などと同じで、眠りにつくのが上手でないというのも、その子の持つものと性格であり、個性の一つです。
ショートスリーパーの赤ちゃんは、裏を返せば、体力があって元気だと言えますね。
寝ない赤ちゃんを育てるママは、毎日寝不足で本当に大変ですが、寝ないのも一つの個性です。その個性にしばらくおつきあいするくらいの感覚で、過度に無理せずに過ごすことも大切です。
家事は手抜きでOK!大人の睡眠を優先
寝ない赤ちゃんに毎日付き合うママは、寝かしつけに多くの時間を使います。がんばって寝かしつけようとしたのに、赤ちゃんが結局寝なかった場合や、すぐ起きてしまった場合、無駄な時間を過ごしたように感じることもあるでしょう。
でも、その時間は赤ちゃんとの触れ合いのかけがえのない時間と考えることもできます。ママの愛情は赤ちゃんに伝わります。寝ない赤ちゃんに付き合っている自分は、赤ちゃんとたくさん触れ合っているのだと自信を持ちましょう。
しかし、睡眠時間が足りないとママがイライラしてしまうので、家事はできるだけ手を抜き、赤ちゃんと一緒にお昼寝をするなど、ママは自分の睡眠時間の確保を優先しましょう。目を閉じて、横になるだけでも体力が回復するでしょう。
パパや周りの人に理解や協力を求めることも大切です。短時間でもママ一人の時間を作れるように話し合ってみるのもよいですね。
⑤まとめ
寝ない赤ちゃんを寝かせようとするのは大変なことです。
でも寝ない赤ちゃんはいません。
「いつか寝てくれる」ということを忘れず、寝かせることに必死になりすぎないことも必要かもしれません。
赤ちゃんが寝てくれるように様々な情報を集めているあなたは、親としてとても頑張っていると思います。今は大変だと思いますが、必ず安眠できる日がやってきます。
一人で頑張りすぎず、パパや周りの人に辛い気持ちを打ち明け、理解・協力してもらえるようにするのも大切です。「ママ・パパの安心=赤ちゃんの安心」は寝ることに限らずどんな場面でも生きてくる考え方ですので、ぜひ覚えておいてください。