離乳食は何からあげればいいの?-歯科衛生士ミッキーの離乳食研究 一般的な離乳食と手づかみ離乳食の違い②-

目次

1. 歯科衛生士 ミッキーの離乳食研究とは 

こんにちは!歯科衛生士のミッキーです。 
私は10年以上にわたって、赤ちゃんの「噛む力」を育むための離乳食研究を行っています。 

このブログでは、ミッキーの離乳食研究として、 

「一般的な離乳食」と「手づかみ離乳食」の違いについて、管理栄養士と共に研究を進めたときのお話をしています。 

前回までの研究はこちら(別のタブが開きます)

本日の研究テーマは「離乳食のスタートは何からあげればいいの?」です。 

離乳食スタートの食材については様々な情報が発信されていますが、実は専門家の間でも考え方の違いがあります。それで迷ってしまうのはママ・パパですよね。この研究が少しでもその迷いを取り除くヒントになればと思います。 

2.一般的な離乳食と手づかみ離乳食のはじめに与えるものの違い 

離乳食初期の考え方 

離乳食の初期は、一般的な離乳食では「食べることに慣れること」を目的としており、手づかみ離乳食では「食材をくちびるで取り込むことと、ミルクではないものをスムーズに飲み込むこと」を目的としています。一般的な離乳食と手づかみ離乳食の考えとの大きな違いは、この時期に赤ちゃんに獲得してもらいたいものの違いと言えます。 

食育実践予防歯科®の手づかみ離乳食では、1回食から手づかみ食べをすることを目指しています。手づかみ食べのスタートが「離乳食初期」となりますので、一般的な離乳食の「初期」に当たる時期を、手づかみ離乳食では「手づかみ離乳食準備期」と呼んでいます。 

一般的な離乳食と手づかみ離乳食の与えるものの違い 

離乳食をスタートするとき、赤ちゃんに何を与えればいいと思いますか?

一般的な離乳食では、生後5~6ヶ月頃から10倍粥つぶしを小さじ1杯から与えます。10倍粥つぶしに慣れてきたら色の濃い野菜のすりつぶし、そのあとにタンパク質として、しらすや豆腐などを与えていきます。 

これを1日1回、1ヶ月くらい続けるのが一般的な離乳食の進み方です。 

手づかみ離乳食では、「犬座りができたらサラサラ重湯を与える」ことにしています。

犬座りの様子

※犬座りというのは、保護者が座らせれば座れる状態のことです。

※重湯(おもゆ)とは、お粥を作る際にできる上澄みの液体のことです。米を多量の水で炊いたときに、米のデンプン質が溶け出してできる液体部分です。米粉をお湯で溶くだけでも簡単に作ることができます。

与えるもののほかに、スタート時期についても違いがあります。 

研究①で、離乳食のスタート時期について詳しくお話しましたが、生後5~6ヶ月の多くの赤ちゃんは、自分の力のみで座ることができません。座れないということは、口から胃へと入ってくる食べ物の通る道がまっすぐではないということです。すると、固形物は飲み込みにくく、10倍粥つぶしを食べることが難しい場合もあります。 

私のこれまでの研究結果からは、離乳食を始めるまでに固形物を飲み込める体ができていれば10倍粥つぶしからスタートしてもスムーズに進んでいける子がいると考えています。 

離乳食のはじめに何をあげるかも大事ですが、それよりもやはり、食べる体の準備ができているかのほうが重要なのです。 

ではなぜ、手づかみ離乳食ではつぶし10倍粥ではなく、サラサラ重湯から始めることを推奨するのでしょう。 

次はその理由と、離乳食スタート時期に与えたい食材について詳しく解説していきます。 

3. 本日の離乳食研究:「離乳食のスタートは何からあげればいいの?」 

ここでは、1回食が始まる「手づかみ離乳食初期」の準備期間としての、「手づかみ離乳食準備期」について解説していきます。 

手づかみ離乳食準備期とは 

離乳食が始まるまでは、どの赤ちゃんもミルクを飲んでいますよね。 

授乳期で赤ちゃんが口にするものは液体のみです。そこからいきなりつぶし10倍粥という固形物を与えてしまうと、赤ちゃんはびっくりしてします。なぜなら、赤ちゃんの口は液体を「飲む口」であり、まだ固形物を「食べる口」にはなっていないからです。 

手づかみ離乳食準備期では、液体と固形物の中間となる重湯を間に挟みます。そうすることで、赤ちゃんはスムーズな飲み込みを獲得できるようになります。 

この時期は、食材からの栄養摂取を目的とはしません。栄養は授乳から得ることとし、手づかみ離乳食準備期の目的は、食材をくちびるで取り込むことと、ミルクではないものを飲み込む練習することになります。 

また、手づかみ離乳食準備期は、初期から手づかみ食べをするための準備期間として、スプーンを使う時期でもあります。 

スプーンを使って、唇を閉じることを学んでもらうこともこの時期の大きな目的の一つだからです。 

サラサラ重湯・トロトロ重湯 

サラサラ重湯は、スプーンですくうと液体のようにサラッと流れる状態のものです。 

保護者が赤ちゃんを座らせたら座れる状態である「犬座り」ができるようになったら、サラサラ重湯に挑戦してみましょう。 

食べる体の準備ができている赤ちゃんだと、1日でサラサラ重湯をクリアしてしまうこともあります。 

サラサラ重湯をスムーズに飲み込めるようになったら、次はトロトロ重湯に進みます。 

トロトロ重湯はサラサラ重湯よりもとろみがあり、赤ちゃんの敏感な舌では重さを感じるものです。 トロトロ重湯をスムーズ飲み込めるようになったら、いよいよ10倍粥つぶしに進みます。 

ここまでのステップアップは、体の準備ができてから始める子は、3日もかからないこともあります。

重湯を与えるのは短期間と言えますが、くちびるで重湯を取り込むことと、ミルクではないものを飲み込む練習を目的としており、このステップが非常に重要になります。

ちなみに栄養摂取は授乳からとなるので、重湯の取り込みをしないほとんどの時間帯はリズムを決めて授乳をする時期になります。 

10倍粥つぶし 

次は10倍粥つぶしに進みます。

10倍粥とは、米1に対して水10の割合で炊いた非常に柔らかいお粥のことです。
10倍粥つぶしは、その名の通り10倍粥をつぶしたもので、10倍粥をつぶすことによって飲み込みやすく、消化しやすくなるため、未熟な赤ちゃんの消化器官への負担が少なくなるよさがあります。 

つぶし方にはコツがあり、トントンたたくようにつぶし、決して練らないように気を付けます。練ってしまうと粘り気が出て赤ちゃんにとって食べづらく、味も悪く感じてしまいます。プレーンヨーグルトくらいの状態になればOKです。 

つぶし10倍粥がスムーズにゴックンできたら次はにんじんペーストに進みます。 

にんじんペースト 

甘みを感じるにんじんは、赤ちゃんも大好き!
だし汁でやわらかく煮たあと、裏ごししていきます。大人が食べてみて、舌と上あごで簡単に押しつぶせるくらいのやわらかさが目安です。野菜をやわらかくするには電気圧力鍋を使うととても便利なのでおススメです。 

重湯からにんじんペーストまで、スムーズな飲み込みができればよいので、与える期間は〇日などということは決まっていません。飲み込むことができる体 になっていれば、スムーズに進んでいきます。 

4. 赤ちゃんモニター「Aちゃん」の様子 

赤ちゃんモニター「Aちゃん」は、生後7ヶ月後半。
Aちゃんは、一般的な離乳食の進め方で進めてもらったため、重湯のステップはなく、10倍粥つぶしからスタートしました。 

はじめての10倍粥つぶしを上手にくちびるで取り込み、飲み込むことができました。

Aちゃんは自分で座ることができています。言い換えると、腰が立ち、頸椎と頭を正しい位置で支えてバランスが取れる状態の体になっていました。それは、頭と首が自然な位置に保たれ、食べ物や飲み物がスムーズに通る道の準備も整っていると言えます。

ですから、すぐに10倍粥つぶしをくちびるで取り込み、舌で喉の方へ送り、飲み込むという一連の動きを獲得できたのでした。 

5. まとめ 

離乳食スタートでつまずいてしまうと、赤ちゃんも保護者も離乳食が嫌いになってしまいます。離乳食を順調に進めるためにも、離乳食スタート時の赤ちゃんの体の成長に合わせたものを与えることが大事です。 

離乳食は赤ちゃんのペースに合わせ進めてみてください! 

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