1. 歯科衛生士 ミッキーの離乳食研究とは
こんにちは!歯科衛生士のミッキーです。
私は10年以上にわたって、赤ちゃんの「噛む力」を育むための離乳食研究を行っています。
このブログでは、ミッキーの離乳食研究として、 「一般的な離乳食」と「手づかみ離乳食」の違いについて、管理栄養士と共に研究を進めたときのお話をしています。
本日の研究テーマは「離乳食2回食(中期)の食材と進め方の違い」です。
離乳食2回食(中期)では一般的な離乳食と食育実践予防歯科®メソッドと大きな違いがあります。
一般的な離乳食は保護者のスプーン介助が中心であり、食育実践予防歯科®メソッドでは手づかみ食べが中心です。初期から手づかみを始めた子は手づかみ食べが上手になってくる時期でもあります。
離乳食2回食(中期)は、食材の幅がかなり広がっていきますので、このブログが2回食(中期)の食材の広げ方の参考になれば嬉しいです。
2. 一般的な離乳食と手づかみ離乳食の進め方の違い
この研究ブログは、一般的な離乳食の進め方と食育実践予防歯科®メソッドの手づかみ離乳食の違いをテーマとしています。
前回の研究日、赤ちゃんモニターAちゃんは7ヶ月半。10倍粥つぶしからスタートしました。
食育実践予防歯科®で言うと、「手づかみ離乳食準備期」に該当する時期でした。帰宅後からの1ヶ月は、一般的な離乳食の進め方の1回食の離乳食を進めてもらいました。

今回の研究日のAちゃんは8ヶ月後半、一般的な離乳食では離乳食2回食(中期)にあたる時期となります。月齢で進めているため、Aちゃんの1回食(初期)の様子を実際には見ることができませんでした。
そのため2回食(中期)の解説の前に、離乳食1回食(初期)の一般的な離乳食と手づかみ離乳食との違いを簡単に解説していきます。
1)離乳食1回食(初期)
①一般的な離乳食の進め方(1回食・初期)
一般的な離乳食1回食(初期)は、生後5~6ヶ月に10倍粥つぶしから始め、すりつぶした野菜へと進み、それに慣れてきたら、つぶした豆腐、白身魚、卵黄と食材を広げていきます。基本的に全ての食材をつぶしてから与えます。食べ方は、保護者のスプーン介助が中心です。
②手づかみ離乳食の進め方(1回食・初期)
手づかみ離乳食の1回食では、さっそく手づかみ食べが始まります。
触れた食材を口まで持っていって口の中に入れるということもありますが、それは偶然できただけのことで、まだ食べるための手と目と口の協調運動ができる時期ではありません。
保護者は、食材が赤ちゃんの口に入ればラッキー!というような心持ちでいるとよいでしょう。
食材を手でつかんでぐちゃぐちゃにしたり、床に落としたりするのもこの時期です。
手でつかんで顔のほうに持って行っても、おでこや頬にぶつかってしまうこともあります。食べようと思って食べているわけではないのです。偶然的に、ぽろんと口に入り「ハッ」と何か気づいたような表情になります。
手づかみで食べるというよりも、手で食材に触れてやわらかさや形などを確かめる時期と言えます。
手で食材に触れ、つかみ、十分に感じ取ること、赤ちゃんの“やりたい”気持ちを満たすことが大切です。
遊んでいるわけではなく、手の平で確かめ、学習しているからです。ぜひたくさん触らせて欲しいですね。
食材は10倍粥、かなりやわらかく煮た人参スティック、それらに慣れてきたら、煮た豆腐、塩抜きしてから煮たしらすを与えます。食材に触れて確かめる時期なので、食材をつぶして与えることはしません。
手づかみ食べで食材をしっかり取り込み栄養摂取させるという考え方ではないので、栄養摂取の中心は母乳やミルクとなります。
2)食後の授乳の考え方
一般的な離乳食では、離乳食後に母乳・ミルクを好きなだけ飲ませますが、手づかみ離乳食では、離乳食後の授乳をおすすめしていません。
理由は、離乳食後の授乳があると、これから目指していく離乳食3回食の食事のリズムが整いにくくなってしまうからです。
手づかみ離乳食でも栄養摂取の中心は母乳やミルクなので、1回食の後の授乳は食後すぐではなく食後1~2時間後とし、その後2~3時間後へと少しずつ間を空けていき生活のリズムを整えていきます。
3)離乳食2回食(中期)
離乳食の2回食(中期)は、食材を徐々に増やすことで取り入れる栄養素も増え、食事に慣れていく時期です。赤ちゃんにとっては食べられる食材が増えるため、離乳食が楽しくなってきます。1回目の離乳食と2回目の離乳食の間隔は3~4時間ほどあけます。
①一般的な離乳食の進め方(2回食・中期)
食材の種類を増やし、栄養の多様性の確保が目的となります。 具体的には、おかゆなどの炭水化物に加えて、野菜や果物などのビタミン群、豆腐や白身魚、少量の卵黄などのタンパク質を取り入れていきます。
2回食(中期)ではまだ手づかみ食べの指導はありません。ひとさじずつ保護者がスプーンで介助し、赤ちゃんの口に運びます。この時に保護者はたくさん食べてほしいという想いから、スプーンに山盛りに食べ物をのせ、食べ物がスプーンから落ちないよう急いで口の中に入れてしまう傾向にあるので気をつけたいところです。
②手づかみ離乳食の進め方(2回食・中期)
食育実践予防歯科®メソッドの手づかみ離乳食では、1回食(初期)に引き続き手づかみ食べが中心になります。2回食(中期)の頃には、手づかみ食べがかなり上手になっています。
食べ物を目で確かめて、手指でつかみ、口まで運び口に入れるという、目と手と口の協調運動の発達が促される時期です。口の機能としては、舌で食べ物を上顎に押し付け、つぶすことを学びます。
2回食(中期)では、目と手と口の協調運動の発達と、舌での押しつぶしを学ぶことを目的としています。お粥もおかずも全て手づかみで食べます。
3. 本日の離乳食研究:離乳食2回食(中期)の食材と進め方の違い
ここでは、2回食(中期)食材について解説していきます。
1)一般的な離乳食2回食(中期)の食材
一般的な離乳食指導の場合、月齢で示した食材チェック表を基に食べられる食材を増やしていきます。
炭水化物は7倍粥、はじめはつぶしますが、慣れてくるとつぶさずに与えます。
タンパク質は煮た豆腐・白身魚・卵黄をつぶし、前半はとろみをつけ、後半は食べにくければとろみをつけるようにします。野菜は前半は2~3mmのみじん切り、後半は3~4mmのみじん切りにするという指導でした。
とろみをわざわざつけるは大変なので、とろみの替わりにおかずにお粥を混ぜると良いというアドバイスがありました。
ここのポイントはお粥におかずを混ぜるのではないということです。あくまでも、おかずの味を知ってもらうためのとろみとして、おかずにお粥を混ぜるのです。
実食の食材は写真の通りです。

2)手づかみ離乳食2回食(中期)の食材
炭水化物は7倍粥で、つぶさずに与えます。
タンパク質は豆腐(絹豆腐)を混合だし汁で沸騰させないように弱火で煮たものや、塩抜きしたしらすを使います。
しらすに慣れたら白身魚(生鮭)に挑戦です。白身魚は片栗粉をまぶして、混合だし汁で弱火でじっくり煮てとろみあんをかけます。白身魚(生鮭)に慣れたら、鶏ささみ肉に挑戦します。
鶏ささみ肉は筋をとってからフードプロセッサーにかけ、ミンチにして使います。鶏ささみひき肉だけだとかたいので、豆腐とお麩を混ぜてかたさを調整します。
野菜は、にんじんと大根を丸型に切り、舌と顎で押しつぶせるやわらかさに煮たあとで、スティック状または半月状に切ります。ブロッコリー、ごぼうもなどもメニューに加えてください。
手で持てる大きさ、舌と顎でつぶせるやわらかさにこだわります。それが、もぐもぐよく噛む子を育むことにつながります。
赤ちゃんが手づかみでき、舌と顎でつぶせるやわらかさの食材には限りがありますので、一般的な離乳食に比べて、手づかみ離乳食では食材の広がりが少ないと言えます。
この時期の手づかみ離乳食でも、もっと食材の広がりを取り入れたいので、副副菜の位置づけで食材を増やすことができないか只今研究中です。
4. 赤ちゃんモニターAちゃんの様子
赤ちゃんモニターAちゃんは、生後8ヶ月半。お粥もおかずも、ひとさじずつ保護者がスプーンで口に運びます。ただし、スプーンの正しい介助方法で行ってもらいました。
7倍粥はスムーズに食べることができました。野菜を2~3mmのみじん切りにしたものは硬かったのか、口唇があまり動きませんでした。かぼちゃは上顎にはりついてしまい、指を口の中に入れ上顎を気にしていました。
上顎についた食べ物を赤ちゃん自身の舌を動かして取り除き、喉の方に送るのは大変難しいことです。
食に対して意欲が高いAちゃんは、「もっともっと」と言っているのか「美味しい」と言っているのか、テーブルをバンバンたたき、ママとコミュニケーションを取っていました。
5. まとめ
離乳食2回食(中期)は食材が広がっていく時期です。しかし、食材の広がりばかりにとらわれすぎず、舌と顎でつぶせる食材のやわらかさにこだわることを忘れないでください。
また、一般的な離乳食では特に、保護者が正しいスプーン介助でお手伝いをすることが大事です。
2回食(中期)にもなれば生活のリズムも作りやすくなってきます。離乳食が「餌」ではなく、食の事となるように家族揃って赤ちゃんと一緒に食卓を囲めると素敵ですね。