①プレ幼児食®とは
プレ幼児食®とは「噛む子」を育む食育実践予防歯科®のオリジナルの考え方と名称で、離乳食から幼児食への移行食のことです。
食の形態の変化はお口の変化でもあります。
プレ幼児食®頃のお口の変化は、第一乳臼歯の萌出です。今まで前歯だけだったのが、奥歯が生えてくるという口の大きな変化があります。前歯と奥歯の役割は違い、前歯は嚙み切る役割、奥歯はかみ砕く役割ですから、食の変化があって当然です。
お口のこの大きな変化は離乳食の卒業時期でもあり、心と体の変化も著しい時期と重なり「食べない現象」も現れることも多々あります。
②プレ幼児食®の特徴とこの時期の子どもの様子
次にプレ幼児食®の特徴と、この時期の食を通しての子どもの関わり方、観察ポイントを紹介します。
1:プレ幼児食®の特徴
プレ幼児食®は、離乳食よりも「噛み応え」がある食事となります。しかしまだ離乳食から幼児食への移行の時期ですから、全てのものが「噛み応え」のあるものではいけません。離乳食後期の後半のメニューが入ってきて良いです。「噛み応え」ある食事と歯ぐきでつぶせるくらいやわらかい食事が混在する献立が望ましいですね。
2:噛み応えのある食事とは
第一乳臼歯はさほど噛む力がありませんので、するめや肉の塊のような硬いものではなく、噛むとカリッと噛み切れるもの、野菜はシャキシャキ感があるものが好まれます。
3:離乳食後期とプレ幼児食®の違い
肉類
離乳食後期
プレ幼児食Ⓡ
魚類
離乳食後期
プレ幼児食Ⓡ
離乳食後期
プレ幼児食Ⓡ
※グリーンソース :グリーンピースを裏ごしし、出汁でのばしたソースです
豆腐
離乳食後期
プレ幼児食Ⓡ
豆類
離乳食後期
プレ幼児食Ⓡ
野菜
離乳食後期
プレ幼児食Ⓡ
芋類
離乳食後期
プレ幼児食Ⓡ
4:人は心で食べる
この頃の心の成長と食べることは複雑に絡み合います。一般的に言う「イヤイヤ期」がこの頃の特徴です。
子どもの中で「自分」という意識が拡大する時期でもあります。
1歳半頃にもなると、自分で選択ができるようになってくるので、2枚のお皿を見せて「どっちを食べる?」と選ばせてあげるのも一つの方法です。
食事時間は子どもにとって自身の気持ちや自我を表現しやすいシーンでもあります。そのため「食べない」「ばっかり食べ」など保護者を悩ませることもあるでしょう。しかし子どもには子どもの事情があるのです。
食べないからと、大人がお菓子やフルーツばかりあげていると、ますます食べなくなるので気をつけましょう。
5:お手伝いで自己肯定感を育てる
この時期のできるお手伝いをしてもらいましょう。「レタスをちぎる」「プチトマトのへたをとる」などキッチンで簡単にできるお手伝いは食への興味や好奇心を育みます。
お手伝いしてもらったら「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えると、子どもは認められたと達成感を味わうことができます。このことが自己肯定感につながり、意欲のある子が育まれます。
6:プレ幼児食®期で「噛む子」を育むために取り組んでほしいこと
離乳食から幼児食に移行するこの時期に取り組んで欲しいことを紹介します。
前歯でかじり取る経験を増やしましょう
自身の一口量を覚えることができます。そして噛む力と機能を発達させます。
口を閉じて噛むよう促しましょう
口を閉じて噛むことは口の周りの筋肉を発達させます。お口が開くと歯並びにもよくない影響があるので気をつけてみて欲しいです。
大人が口を閉じて噛んでいる姿を見せるのが効果的です。子どもは周りを見て覚えていきます。子どもは一番身近な保護者の食べ方を真似するので、口を閉じよく噛む姿を子どもに見せてあげてくださいね。
食事を急がせないようにしましょう
噛む力はまだ弱いので、食材を噛みくだき飲み込みまでに時間がかかります。急がせてしまうと噛まずに丸呑みになってしまい、噛む子は育まれません。子どもが自分のペースでもぐもぐよく噛んで食べられるように、余裕をもって食事時間を取るようにしましょう。
汁物や水で食べ物を流しこまないようにしましょう
食事中は水を出さないようにすることが望ましいです。食事中に汁物や水で「流し食べ」する癖がつくと、噛まずに飲み込むようになってしまいます。水を出す場合は食事の最後にしましょう。
③まとめ
プレ幼児食®は、子どもの心と体の成長を支え、健康的な食習慣を身につけさせるための重要なステップです。保護者が積極的に関わり、子どもと共に楽しい食事時間を過ごすことで、噛む力と食への興味を育むことができます。