1.歯科衛生士ミッキーの離乳食・プレ幼児食®研究とは
こんにちは。歯科衛生士のミッキーです。
私は10年以上にわたり、赤ちゃんの「噛む力」を育むための離乳食研究を続けてきました。
その中で、離乳食からいきなり幼児食へ移行するのではなく、「噛む子を育む」ためには**プレ幼児食®**という移行期の食事が必要であることがわかってきました。
このブログではこれまで、「一般的な離乳食」と「手づかみ離乳食」の違いについて、管理栄養士と共に研究を進め、一般的な離乳食から手づかみ離乳食への移行についてお伝えしてきました。
現在は、プレ幼児食®期の検証をお伝えしています。
本日の研究テーマは、
食べにくい食材をどう食べる?― 2歳7か月の食べ方です。
2.“知りたい”が育つ2歳後半
2歳後半になると、子どもの言葉はぐんと広がってきます。
自分の知っているものの名前を言ったり、経験したことを話したりするだけでなく、わからないものや気になるものに出会ったとき、
「これなあに?」
と大人に尋ねる姿も増えてきます。
これは、単に言葉の数が増えたということだけではありません。
目の前にあるものに興味をもち、
「これは何だろう?」
「知りたいな」
「ママに聞いてみよう」
と、自分から相手に働きかけるようになってきたということでもあります。
それまで大人から教えてもらうことが多かった子どもが、少しずつ自分から知ろうとするようになっていきます。
そして「これなあに?」と尋ねて、大人から答えが返ってくる。
「そうなんだ」と知る。
また違うものを見つけて聞いてみる。
こうしたやりとりを繰り返しながら、子どもは物の名前だけでなく、物事の意味や人との会話も学んでいきます。
2歳後半は、まだ大人のように「どうして?」「なぜ?」と複雑な質問をするとは限りません。
でも、「これなあに?」という短い言葉の中には、「知りたい」「確かめたい」という気持ちが詰まっています。
この「知りたい」という気持ちは、これからさらに広がっていく子どもの学びの入り口です。
大人にとっては何でもない「これなあに?」も、子どもの中で新しい力が育っているサインとして見てみると、いつもの会話がちょっと違って見えてきます。
そして、こんな「知りたい」がAちゃんの食卓でも見られるようになってきました。
3.本日のプレ幼児食研究
食べにくい食材をどう食べる?― 2歳7か月の食べ方
Aちゃん(2歳7か月)の今日の様子
この頃の幼児にとって、食べにくい食材の代表として「きのこ類」があります。
でも、Aちゃんはそんなことはおかまいなし。
しめじが大好きです。
そこで今月は、この頃の幼児が食べにくいとされている「えのき」と「そぼろ肉」にチャレンジしてもらいました。
Aちゃんはお味噌汁が好きなので、まずはお味噌汁の具にえのきを入れてみました。
えのきは噛むとぐにゅっとした食感があり、噛む力が弱い幼児にとっては食べにくい食材のひとつです。
Aちゃんは手でえのきをつかむと、特に問題なく食べました。
続いて、ご飯茶碗にご飯を入れ、その上に甘じょっぱい味付けの肉そぼろをかけました。
そぼろは口の中でまとまりにくく、ばらけやすい形態なので、幼児にとって飲み込みにくい食材と言われています。
Aちゃんは、まず指でそぼろをつまんでパクパク食べました。
何度も指でつまむのが面倒になったのでしょうか。
途中から口をお茶碗に近づけて、直接食べようとする姿も見られました。

そこで、Aちゃんにスプーンを渡しました。
すると今度は、そぼろとご飯をスプーンで一緒にすくって食べました。
私は、Aちゃんにとってこのスプーンは少し柄が長いかなと思い、柄の短いスプーンも渡してみました。
ところがAちゃんは、
「できない」
と言って、スプーンをテーブルに置きました。
どうやら、柄が短くて「できない」のではなく、ご飯が固まっていて、うまくすくえないということだったようです。
ママがご飯をほぐしてあげると、Aちゃんは柄の短いスプーンでそぼろとご飯を一緒にすくい、
「おいしい」
と言って立ち上がりました。
私から見ると、柄の長いスプーンの方が使いやすそうに見えました。
そこでAちゃんに、
「柄が長いスプーンと短いスプーン、どっちがいい?」
と聞いてみました。
するとAちゃんは、
「こっち」
と言って、柄の短いスプーンを選びました。
大人から見て「こちらの方が使いやすそう」と思うものと、子ども自身が「使いやすい」と感じるものは、必ずしも同じではないのですね。
Aちゃんは最近、おかずばかり食べて、ご飯をほとんど食べないとのことでした。
ところが、今回の検証で出した「そぼろご飯」は食べました。
これまでの検証でも、2歳代になって「ご飯を食べなくなった」というお子さんを何人も見てきました。
食べる量や好みが変化する時期でもあります。
私たちは「食べない」という結果だけを見るのではなく、何を好んで食べているのか、どのように食べているのかなど、「くち・こころ・からだ」全体の成長を見ながら捉えることが大切だと考えています。
そして今回、食べること以外にも、とても興味深い場面がありました。
Aちゃんが、歯磨きをしているうさぎの絵を見つけました。
絵を指さして、ママに、
「これなあに?」
と聞きました。
ママが、
「歯磨きだね」
と答えると、Aちゃんは自分の指を歯ブラシに見立て、歯に当てて横に動かすポーズをしました。

絵を見て「これは何だろう?」と疑問をもち、ママに尋ねる。
そして「歯磨き」という答えを聞くと、自分が日常で経験している歯磨きを思い出し、今度は指を歯ブラシに見立てて表現する。
「これなあに?」という短い言葉から、知りたいという気持ち、記憶、言葉、そして自分の経験を別のものに置き換えて表現する力へとつながっているように感じました。
2歳7か月。
食べる力だけではなく、「知りたい」「やってみたい」「自分で選びたい」という気持ちも、食卓の中でどんどん育っていることを感じました。
4.まとめ
今回は、2歳7か月のAちゃんに、幼児が食べにくいとされている「えのき」と「そぼろ肉」を食べてもらいました。
えのきは手でつかんで食べ、口の中でばらけやすいそぼろは、最初は指でつまみ、その後はご飯と一緒にスプーンですくって食べました。
食材によって、手を使ったり、食具を使ったり。
Aちゃんは自分なりに食べ方を変えながら食べていました。
そして今回、私がもうひとつ興味深いと感じたのが、スプーンを自分で選んだことです。
大人から見ると柄の長いスプーンの方が使いやすそうに見えても、Aちゃんが選んだのは柄の短いスプーンでした。
「できない」と伝えることも、「こっち」と自分で選ぶこともできる。
食べる機能が育つだけでなく、自分で考え、自分の気持ちを言葉で伝える力も育ってきていることを感じます。
そして、
「これなあに?」
という言葉。
歯磨きをしているうさぎの絵に興味をもち、ママに尋ね、答えを聞くと、自分の指を歯ブラシに見立てて歯磨きの動きをしてみせました。
これまでAちゃんの「食べる」を追いかけてきましたが、食卓を観察していると、「くち」の発達だけではなく、「こころ」や「ことば」の成長にもたくさん出会います。
食べてみる。
自分でやってみる。
うまくいかなければ伝える。
自分で選ぶ。
そして、わからないことは「これなあに?」と聞いてみる。
2歳後半になり、Aちゃんの中にある「自分で」という気持ちと「知りたい」という気持ちが、ますます大きくなってきました。
プレ幼児食®期は、「何を食べられるようになったか」だけを見るのではなく、子どもがどのように食べ、どのように考え、どのように伝えているのかを見ることも大切なのだと、今回のAちゃんの姿から改めて感じました。
これからも「くち・こころ・からだ」の育ちを、食卓から追いかけていきたいと思います。

